スキルの活躍の場

例えば薬剤師の場合を考えます。服薬に伴う副作用は古典的分類でA・B・Cの3タイプに分けることが出来ます。Aタイプ、副作用の機序が想定できるもの・Bタイプ、アレルギーや特異体質に起因するもの・Cタイプ、対照群との比較のみでしか因果関係を特定できないものの3つです。この3タイプの副作用において薬理学・薬物動態学はどのようにかかわる事が出来るでしょうか。まずもってタイプCは、副作用においてほとんど無力と言ってよいでしょう。仮に薬理学的な説明がなされたとしても、そのほとんどが往々にして後付けされたものだと考えられます。続いてBタイプですが、これはそもそもが予測困難であるため初期症状を伝える事・経過観察でもって重篤化させない対応というのがメインになってきます。また、同様な副作用が繰り返されないように対策を講じていくことも大切だと言えます。つまりは、薬理学・薬物動態学はタイプAの副作用が主な活躍の場という事になります。タイプAにおけるキーワードは「既知」「予測可能」「高頻度」「用量依存的」であり、おのずと薬理学・薬物動態学を必要とするケースも多くなってくると言えます。また薬物相互作用となると、その重要度は更に増すと考えられます。服用する薬の量の変化に起因する薬物動態学的相互作用と、薬理作用の協力・拮抗作用などの体内動態に変化が無くとも薬効・有害事象によって生じる薬力学的相互作用に分類されます。そして複数の機序を伴って生じるという事も多いようです。例えばパロキセチンとトラマドールを併用したことでセロトニン症候群を引き起こした場合で考えてみましょう。この場合だと、パロキセチンによるCYP2D6阻害とセロトニン再取り込み阻害作用が同時に起きているという事になります。薬理・動態にも限界というものが存在します。しかしながらその出番が最も多いのは間違いないでしょう。薬理学・薬物動態学を学ぶ理由というのは、薬の作用・副作用が「いつ」「どのように」起きるのかを推測する為だと言ってよいと思います。この知識があるこそ、薬の適正使用・副作用防止・副作用の重篤化対策に繋げていくことが出来るのです。